こんにちは、Tomoko です。
annealing (アニーリング) って何?
こんな疑問にお答えします。
アニーリング:成形時にプラスチック部品の中に残った応力(残留応力)を取り除く処理のこと
annealing (アニーリング) とは?
annealing (アニーリング)は
成形時にプラスチック部品の中に残った
応力(残留応力)を取り除く処理のことをいいます。
日本語では アニール処理、焼きなましといいます。
樹脂製品の変形、そり、割れを防いだり
寸法精度を安定させたりできます。
射出成型は
圧力を加えて材料を金型の中に流し込んで
流し込んだ材料を冷やして固めて成形します。
この時、残留応力が発生します。
アニール処理することで
この残留応力をやわらげるこができます。
残留応力 と 残留ひずみ とは?
残留応力には以下2つがあります。
- 圧縮応力:樹脂が内側に向かって収縮しようとする力で、圧力を加えて材料を流し込むときに発生する力。
- 引張応力:樹脂の内側から外側に引っ張られる力で、樹脂が外側から冷えて固まるときに発生する力。
つなひきしているみたいな状態を
イメージするとかわいらしく思えます。
これらの力を残留応力といい、
それによって生じるひずみを残留ひずみといいます。
残留応力、残留ひずみが原因で
割れや反りが発生することもあります。
出来上がった樹脂製品をアニール炉と呼ばれる
専用のオーブンに入れて加熱処理することで
残留応力、残留ひずみを取り除き
変形や反り・割れを防ぐことができます。
結果、寸法精度を安定させられます。
個人的には温かくすると綱引きをやめて
リラックスしてる様子を思い浮かべて
覚えています。
寸法の変化を安定させることもできる
一度作った成形品は、時間が経つとともに
樹脂の結晶化度が上がり寸法が変化するので
通常成型後1日以上経過してから寸法を測定します。
アニール処理をすると日時変化を抑えられ寸法が安定します。
アニール処理の温度
アニール処理の温度は樹脂の種類で異なります。
理由は、ガラス移転温度(Tg)*が樹脂の種類で異なるからです。
*ガラス転移温度:ガラス転移温度以上になると硬いガラス状から柔らかいゴム状へと変化する。
基本的な概念はこちらです。
- 結晶性樹脂のアニール処理の場合は、移転温度(Tg)以上の温度で加熱する。
- 非晶性樹脂のアニール処理の場合は、移転温度(Tg)より低いの温度で加熱する。
参考に一例です。
測定方法や条件によっても変わるので
正確な情報は扱っている樹脂の情報を得るのが望ましいです。
分類 | プラスチック名 | ガラス転移温度 (℃) | 結晶融点 (℃) |
非晶性 | PVC PS PMMA PC PSU | 80 90 100 145 190 | – |
結晶性 | PE PP PA 6 PA 66 POM PPS PEEK | -125 0 50 50 -50 88 143 | 141 180 225 265 180 290 343 |
引用元:射出成型特性を活かす プラスチック製品設計法
まとめ
アニーリング:成形時にプラスチック部品の中に残った応力(残留応力)を取り除く処理のこと
annealing (アニーリング)について解説しました。
想像しにくいことは
何とか自分なりに想像できる形にして
覚えるようにしています。
みなさんは書籍や習った文字通りに
覚えられますか?
今回はこれでおしまいです。
最後までお読みいただきありがとうございます。